1.補助金・助成金とは

補助金・助成金は、国や地方公共団体が企業を支援する目的で支給するお金のことを指します。補助金・助成金の財源は、公的な資金のため、厳重な審査が行われます。
補助金と助成金にはほとんど違いはありませんが、少しだけ違いがあります。
補助金とは、国や地方公共団体が新規事業や創業促進を目的として、支給されるお金です。補助金の種類は1万以上あると言われていますが、種類ごとに採択件数や支給できる予算があるため、申請しても支給されないことがあります。また、受付期間が短く、倍率も高いため審査に通らない可能性があります。しかし、審査に通れば数百万~数億円の資金を調達することができるため、事業を拡大することができます。
一方助成金は、企業の労働環境や人材育成などを支援する目的で支給されるお金のことを指します。助成金は、申請の際に一定の条件を満たしていれば原則支給されるため、補助金と比較すると、支給の難易度は高くありません。
2.中小企業が受けられる補助金・助成金

中小企業が受けられる補助金・助成金は以下の通りです。
1.雇用調整助成金
雇用調整助成金は、今回のコロナの影響や景気の悪化で事業の業績が悪化した場合に受け取れる助成金です。この助成金は、雇用を維持する目的で支給されます。支給限度日数は1年間の場合100日、3年間の場合150日となっています。助成金額の1日の上限は8,205円/人です。
2.キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用者のために企業に支給される助成金です。非正規雇用者を企業内でキャリアアップさせることが目的で、正社員化や処遇改善を実施した企業に対しての制度です。この制度内でもコースが分かれており、それぞれ要件によって支給金額が変わります。
3.ホームページ作成支援事業補助金
中小企業がホームページを作成する際に掛かる費用の3分の2(上限50万円)を補助する制度です。昨今は、ネットからの集客が主流となりつつあるので、自社のホームページを作成する必要があります。ホームページ作成費用は50万円~かかることが多いので、補助金があるのはうれしいですよね。
4.事業再構築補助金
事業再構築補助金は、事業拡大のために新事業への挑戦・業態変化などに取り組む中小企業を支援する目的で支給される補助金です。
しかし、この補助金は困難な状況である企業が対象のため、黒字経営の企業は利用することができません。
この補助金は、困難な状況な企業が、事業を再構築することで日本経済を促進することを目的としています。
5.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、新型コロナウイルスによって経営が厳しい状況にある事業の継続を確保するための補助金です。
この補助金は、ポストコロナを掲げた新事業の導入を支援する目的で支給されます。
6.65歳超雇用推進助成金
65歳超雇用推進助成金は、定年年齢の引き上げや、高齢者の労働環境の整備に対して支給されるお金の事です。
この助成金を受けた場合、以下のいずれかの制度を実施しなければなりません。
- 65歳以上への定年引上げ
- 定年の定めの廃止
- 希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入
- 他社による継続雇用制度の導入
7.両立支援等助成金
両立支援等助成金は、職場と家庭の両立を支援するための助成金です。男性労働者の育児休業取得を目的としており、この助成金が支給された企業は育児休業の取得促進について取り組みを行う必要があります。
3.補助金・助成金のメリット・デメリット

補助金・助成金のメリット・デメリットは以下の通りです。
【補助金のメリット】
1.制度の種類が豊富
厚生労働省の公式ホームページに様々な制度についての概要が掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。
補助金の制度の種類は、助成金よりも多いため自分に合った制度が見つかる可能性が高いです。その数は1万種類以上といわれており、様々な補助金制度があります。
2.返済が不要
補助金・助成金の1番のメリットは返済不要という点です。銀行などの金融機関から融資を受ける場合は、返済のことや金利を考えなければなりませんが、補助金・助成金ではその必要がありません。
特にスタートアップ企業や安定していない企業は、金融機関からの融資で資金を調達すると返済リスクが発生するため、まずは補助金・助成金制度を利用することをおすすめします。
3.色々な事業展開が可能になる
補助金によって、資金調達を行うことができた場合、積極的な人材採用・設備投資を行うことができ、色々な事業展開が可能になります。
補助金は返済不要の資金のため、積極的にチャレンジをすることができます。
【補助金のデメリット】
1.支給されない可能性がある
補助金は、公的資金によって支給されるお金のため、採択件数や予算が決まっており、支給されない可能性があります。また、補助金は返済不要という点からとても人気の資金調達方法となっており、倍率も高くなっています。
審査も厳しいため、申請もせずにあきらめる企業も多くあります。
2.公募期間が短い
補助金は、公募期間が短いというデメリットがあります。申請期間は、1カ月程度しかないため、その期間で事業計画書などの書類を準備する必要があります。
稀にですが、人気のある補助金であれば、公募期間前に受付を終了する可能性もあるので注意しましょう。
【助成金のメリット】
1.審査に通りやすい
助成金は補助金と違い、制度の要件を満たしさえすれば、ほとんどの場合助成金を受け取ることができます。
補助金は審査も厳しい上に、書類も準備しなければいけないので、確実に資金を調達したい方は助成金制度を利用しましょう。
2.いつでも申請できる
助成金は補助金と違い、公募期間が定められていないのでいつでも申請することができます。これは、助成金を求めている企業にはできるだけ支給したいという国の方針の表れだといえます。
助成金はいつでも申請することができますが、人気のある助成金は応募が終了してしまうこともあるので注意しておきましょう。
【助成金のデメリット】
1.補助金よりも支給される金額が少ない
助成金は補助金よりも簡単に支給されますが、補助金よりも支給される金額は少なくなっています。そのため、億単位の大規模な資金調達をすることはできません。
しかし、数百万であれば支給されるので、小規模の資金調達であれば1番有効な方法であるといえます。
2.使用用途が決められている
補助金は、事業拡大などのために使用することができますが、助成金は申請した目的のためにしか利用することができません。そのため、人材に関する助成金を受け取った場合は、人材の雇用や労働環境整備にしか利用できないのです。
しかし、助成金は返済不要な資金なので、無料で会社の環境を改善できると思えばお得ですよね。
4.まとめ
今回は中小企業が受けられる補助金・助成金のメリット・デメリットについて解説させていただきました。
今回の内容をまとめると以下の通りです。
・補助金・助成金は返済不要の資金調達
・助成金よりも補助金の方が種類が豊富であるが、審査が厳しい
・助成金よりも補助金の方が多額の資金を調達することができる
補助金・助成金は返済不要の資金調達のため、受給することができればメリットしかありません。
経営者であれば、必ず申請するべきだと思います。