「会社をもっと大きくしたい!」「起業したい!」
経営者やこれから経営者として事業をしていきたい方は、このように思われている方が多いのではないでしょうか?
しかし、会社を拡大する時や起業をするときなど、ビジネスを行っていく様々な場面で必要となってくるものがあります。
それは資金です。
資金があれば、会社を拡大するための先行投資を行うことができ、会社を成長させていくことができるでしょう。
しかし、資金がない場合には資金を調達しなければなりません。
そこで本記事では、資金調達にはどのような方法があるのか、またそれぞれの特徴についても解説していきます。本記事を参考に、自分に最適な資金調達方法を見つけていきましょう。
〇どんな資金調達方法がある?

資金調達=“借金”とイメージする方も多いと思いますが、資金調達には様々な方法があります。
みなさんがイメージしている資金調達=“借金”というのは負債によって資金を得る方法で、例として銀行からの融資などがあります。
この方法も合わせて資金調達の種類は、以下の3種類となります。
◇アセットファイナンス
アセットファイナンスは、資産を資金に変える資金調達方法です。
アセットファイナンスでは、会社が持っている資産を売却し、資金を調達します。資産を売却する際は、有形や無形、どちらでも売却します。売却先から売却代金が支払われるので、その代金を利用していきましょう。
売却できる資産は以下の通りです。
・不動産
不動産は、有形の会社の資産となります。これからの事業で使わない土地や建物を売却しましょう。管理コストの高い不動産を売却すると、ランニングコストも削減することができます。
・在庫
在庫も有形の会社の資産となります。在庫といってもこれから利用する予定のない、必要のない在庫を売却しましょう。必要のない在庫を保管するための管理コストも削減することができます。
・権利
権利は、無形の会社の資産となります。権利には、商標権や開発権、特許権などがあります。
☆アセットファイナンスのメリット
■低コストで資金を調達することができる
アセットファイナンスでは、低コストで資金を調達することができます。上記で紹介した資産のように、使っていない土地や必要のない在庫を売却することができれば、自社のコストがほとんどかかりません。それに加え、自社のランニングコストも削減することができます。
アセットファイナンスは、若い会社や負債を抱えている会社など、信用が薄く銀行からの融資が受けられない会社にとっては、最適な資金調達方法であるといえます。
☆アセットファイナンスのデメリット
■買い手が見つからなければ、資金を調達することができない
アセットファイナンスのデメリットは、買い手が見つからなければ資金を調達することができないことです。使わない土地や無駄な在庫を買いたいと思う企業がいれば問題はありませんが、それらを購入して損をする可能性があれば買い手が付くのは難しいでしょう。
アセットファイナンスで資金を調達するためには、資産が魅力的で信用力のある資産でなければなりません。
◇デットファイナンス
デットファイナンスは、負債を増やして資金を調達する方法で、間接金融とも呼ばれています。デットファイナンスは、負債を増やす資金調達方法のため、貸借対照表では負債として記載されます。資金調達の難易度は低いですが、外部とのやり取りが多いため信用力が重要となります。
デットファイナンスは、銀行借入や社債発行など、負債を増やして資金を調達する方法です。デットファイナンスによる資金調達方法は以下の通りです。
・不動産担保ローン
会社の資産となる「不動産」を担保として、ローンを組みます。
・手形割引
受取手形を取立銀行や手形割引業者に買い取ってもらい、資金を調達します。
・日本政策金融金庫
政府が100%出資する金融機関で、中小企業への融資平均額は約1億円となっています。
☆デットファイナンスのメリット
■税金を抑えることができる
デットファイナンスで資金調達を行うと、税金を抑えることができます。デットファイナンスは、負債を増やしていくため、融資に対する利息の支払いは「損金」として処理されます。会社の利益から損金が引かれるため、純利益が低くなり、税金を抑えることができます。
また、他の資金調達方法に比べ、資金調達先が多く、調達できる可能性が非常に高いこともメリットと言えるでしょう。特に上記で紹介した「日本政策金融金庫」は、中小企業などのビジネス支援を目的としている為、借入しやすい金融機関となっています。
☆デットファイナンスのデメリット
■信用がなくなる
デットファイナンスによって資金調達を行うと、負債が増えるため信用力が低くなってしまいます。デットファイナンスにより資金を調達した場合は、貸借対照表に「負債」と記載されてしまうため、「資金力のない会社」と判断され、取引を断られる可能性があります。
特に大企業や外国企業は、貸借対照表の提出を求めてくる場合が多いので、注意が必要です。
◇エクイティファイナンス
エクイティファイナンスは、投資を受けることによって資金を調達する資金調達方法です。投資をしてもらうことは容易ではありませんが、投資を受けることができれば事業の拡大や起業をすることが可能になります。
エクイティファイナンスの資金調達方法は以下の通りです。
・公募
公募は、時価で新規株を発行し資金を調達する方法です。新規株を発行する際に会社の株価が高ければ高いほど、少ない新規株で大きい資金を調達することができます。
・M&A
M&Aは、会社の子会社や事業部門など会社が権限のあるものを売却して資金を調達する方法です。
・第三者割当増資
第三者割当増資は、第三者に新規株をもらうことができる権利を与え、資金を調達する方法です。ここでの第三者は、株主でなくても問題ありません。
☆エクイティファイナンスのメリット
■返済期限がない
エクイティファイナンスは、原則として返済期限がないことがメリットです。デットファイナンスでは、利息を含め毎月の支払いが必要ですが、エクイティファイナンスでは利息の支払いが不要となり、無駄な出費を削減することができます。
また、第三者割当増資により新規株主が増加するので、財務体制を強化することができます。
☆エクイティファイナンスのデメリット
■株主に経営方針をにぎられてしまう可能性がある
株式会社の場合は、株を多く保有している人が大きな権限を持つことになります。よって、株主が増えるにつれて、会社の経営方針や人事について言及する株主が現れても不思議ではありません。
また、利息を含めた毎月の支払義務はありませんが、株主に配当金や株主優待等の特権を与えなければなりません。
〇状況に応じた最適の調達方法を選ぼう!

上記で大きく3つに分けた資金調達方法を紹介しました。
そこから深堀した、具体的な資金調達方法を4つほど解説していきます。
◇クラウドファンディング
クラウドファンディングは近年、会社の資金調達や重病の治療資金調達などさまざまな場面で広がりを見せている資金調達方法です。クラウドファンディングはアプリやインターネットを通して、掲載されている資金調達に協力しても良いという方から出資を得ることができます。
資金を出資してもらう際は、出資者から探す必要がありますが、その手間を省くことができるのもメリットの1つです。また、クラウドファンディングの出資は、協賛金や人助けといった意味合いで出資してもらうことができるため、出資者への返済義務はありません。
◇日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が出資してくれる金融機関です。日本政策金融公庫は個人の為ではなく、主に中小企業や個人事業主に融資をおこなっています。
日本政策金融公庫の融資制度は以下の通りです。
・一般貸付
一般貸付は、事業を営むほとんどの業種で利用することができます。融資限度額は4,800万円となっており、最大融資期間は10年間となっています。
また、特定設備資金に対する融資限度額は7,200万円となっており、最大融資期間は20年間となっています。
・セーフティネット貸付
セーフティネット貸付の特徴は、売上が減少している方や取引企業・銀行の破綻などで経営が困難な方などが利用することができます。融資限度額は、4,800万円で最大融資期間は15年間となっています。
一般貸付と融資限度額は同じ金額ですが、融資期間が長いことが特徴です。
・新企業育成貸付
新企業育成貸付は、これから事業を始める方に向けての融資となっています。また、廃業歴があっても一定の条件に該当する方は「再挑戦支援資金」として融資を受けることができます。
融資限度額は7,200万円で、最大融資期間は20年間となっており、長期間融資を受けることができます。
◇銀行からの融資
銀行からの融資は、2種類の方法があります。
信用力の低い企業は、「信用保証協会の保証付き融資」を受けることがほとんどです。起業したての会社や過去に返済に滞りがあった企業は信用力が低く、返済が遅れたり滞るリスクがある為、信用保証協会の保証が付きます。支払いを行わなかった場合は、保証協会が支払うことになり、信用情報に悪影響を及ぼします。
信用力の高い企業は、「プロパー融資」を受けます。初めて銀行から融資を受ける際は、どの会社も保証付き融資で借入ますが、そこで返済実績を積むとプロパー融資を受けることができます。プロパー融資は保証が付かないため、保証料を支払う必要がありません。
◇地方自治体からの融資
地方自治体からの融資は、必ず信用保証協会の保証を付けることが条件となります。信用保証協会の保証が付くことで、融資を行う金融機関のリスクが軽減されるため、信用力の低い企業でも融資を受けやすくなります。
しかし、地方自治体からの融資は審査過程が多く、希望金額の50%以上の自己資金を用意しなければならない場合もあります。また、審査結果までに3か月かかることもあり、審査機関が長いことがデメリットとなっています。
〇まとめ
今回は3種類の資金調達方法を解説させていただきました。
おおまかに分けると3種類ですが、その中にもさまざまな資金調達方法があるので、特徴・メリット・デメリットを理解して、状況に合った最適の資金調達方法を選びましょう。
自分に合った資金調達方法が分からない場合は、無理せずに専門家に相談しましょう。資金調達方法の判断を誤ってしまうと、会社経営に大きな影響を与えてしまいます。